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理念は"与えられるもの"から"自ら語るもの"へ。M&Aで拡大した200名をつなぐ、現場主体の組織づくり
ジャスティン株式会社
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製造業
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101〜300名
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経営者インタビュー
記事のポイント
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サーベイを取るという経営者の覚悟が組織を動かす第一歩
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現場社員を巻き込む推進チームでグループ間の壁を解消
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理念を語れなかったメンバーの「8割」が語れる姿へ
愛媛県を中心に、製造・加工・販売を手がけるジャスティングループ。2005年に社名を変えた時から、経営理念「Just in Just」(ジャスト・イン・ジャスト)とともに歩んできた。しかしM&Aを重ね、国内6社・17拠点・約200名規模へと成長するにつれ、その理念はいつしか「お題目」になっていった。
「ジャスティン本社の理念であって、我々とは関係ない」——グループ各社にそう感じているメンバーが少なくない中、経営陣はある決断に踏み出す。社員の本音を可視化するサーベイの実施と、全社員の約10%を巻き込んだ現場主体のチーム「CORE talkers(コアトーカーズ)」の立ち上げだ。
一見シンプルなその取り組みが、わずか1年で「理念を語れなかった人の8割が語れるようになった」という成果を生んだ。なぜ変わったのか。その秘密は、「ロジックではなく感情で組織を動かす」という、経営者自身の変革にあった。代表取締役社長の種田宗司さん(写真:右)と、取締役企画室長の種田万葉さん(写真:中央)に、同社の理念浸透を伴走支援してきた組織開発コンサルタントの菅原(写真:左)が話を聞いた。

── まず、グループが拡大していく中で感じていた組織課題を教えてください。
種田社長:ジャスティンという社名は、経営理念「Just in Just」から来ています。2005年に先に理念を作って、それを社名に落とし込んだんです。それくらい、この理念は会社の根幹にある。
でもグループ会社のメンバーからすると、「そもそもジャスティンってなんやねん」「Just in Justってなんやねん」ってなりますよね。各社にも以前からそれぞれの理念みたいなものがあったりして、「ジャスティン本社の経営理念であって、我々とは違いますよね」という感覚のメンバーが多かったんじゃないかと思います。
── 「ジャスティンに言われたからやる」という空気があったと。
種田取締役:ありましたね。なんでこうするのかわからないけど、ジャスティンがこうしてるから、こうしなきゃいけないんだみたいな。ジャスティン側はそういうつもりで言ってないんですけど、「言われたからやらなきゃいけない」という受け取られ方をしてしまっていた。「Just in Justも多分そういう感じで伝わってるんじゃないか」という危機感がありましたね。
種田社長:アクションの部分だけが伝わって、なぜこれをしないといけないのかが抜け落ちる。そうなると、当事者意識が全くなくて、やらされ感しかない。やらされ感でやっていることって、発展性がないんですよ。宿題を何も考えずに機械的にやっても身につかないのと一緒で。
── 伝言ゲームのように、どんどんずれていく感じですね。
種田社長:そうなんです。今までも「あ、そういう意味でしたか」と言われることが少なからずあったんですよ。こっちは言ったつもりなのに、伝わっていない。特にグループ会社だとその頻度が高くて。やっぱり「親会社が決めたこと」という関係性がどうしても根強くなってしまう。
「違う違う! 我々は兄弟みたいな関係で、それぞれがキラリと光る強みを持ってる仲間なんだ」と伝えたくて、いろんな言い方をしてきましたけど、なかなか届きませんでした…

── 変化のきっかけは「働きがいプロジェクト」だったと聞きました。どういう経緯で始まったのでしょうか?
種田取締役:数年前に社内アンケートを取ったんですよ。そしたら、自分たちが気にかけていたつもりなのに伝わっていなかった部分がたくさん出てきて。もっと現場の声が出せる場所が必要だなと思ったのが最初のきっかけです。
で、「働き方改革」という言葉が政府から出てきていた頃だったんですが、社長と議論するうちに、「うちが求めるのは易きに流れた環境じゃない、一人ひとりが自己肯定感を高められる働きがいだ」ということで、「働きがいプロジェクト」という形でスタートしました。
── プロジェクトのスローガンが「みんなが主役 変えたい想いを共感する」という言葉だったそうですね。
種田取締役:そうなんです。最初にメンバーみんなでスローガンを考えてもらったら、「主役」「変えたい」「共感」という言葉が出てきた。現場から出てきた言葉なのがすごく良かった。「あ、みんな変わりたいと思ってたんだ」「共感したいと思ってたんだ」って、正直驚いたし、感動しました。
そしてそのプロジェクトを進めるにあたって、どうしても必要だったのが「サーベイで現状を知ること」で。それが一番のハードルでした(笑)。
── 社長はサーベイが嫌だとおっしゃっていましたよね。
種田社長:本当に嫌でした(笑)。先輩経営者から「サーベイ取っても建設的じゃない意見しか出てこない。見て気持ちが萎えるくらいならやらない方がいい」という声もあって。PLやBSが成績表なら、サーベイだって成績表です。しかも360度評価みたいに下から全部突き上げてくる感じで、それは痺れますよ。
でも、彼女(種田取締役)が「現場の不安は、原因が分かりにくいことがある。まずは心の内を思いっきり吐き出してもらおう」って言って。最終的に「一か八か、1回取ってみよう」と覚悟を決めました。
── 最初のサーベイ結果はどうでしたか?
種田社長:散々でした(笑)。「社長のパフォーマンスだ」「猫を被ってる」みたいな言葉もあって、それはショックでしたよ。でも振り返ると、当然なんですよね。社員の意見を聞かずにアクションを起こしていたんだから、「社長の自己満足でしょ」と見えても仕方がない。

── サーベイを測ったあと、何が変わりましたか?
種田社長:一番の気づきは、「聞かずにやるのと、聞いた後にやるのでは、同じアクションでも伝わり方がまったく違う」ということでした。
以前は、施策を打つ時にロジックを整えて説明していたんですよ。でも、やらされ感が残っていた。それはなぜかというと、彼らが主人公のつもりでいたのに、彼らを置き去りにしていたから。彼らからすると、自分たちが不在のまま動いていたんですね。
── 声を聞いてもらえると分かると、人は変わるんですね。
種田取締役:変わりますね。声の大きい人だけが届いて、大人しい人たちの小さな声は拾えていなかった。でもサーベイで、そういう人たちも書いてくれた。それに応えたら、「あ、聞いてもらえるんだ」「言ったら何か動いてくれるんだ」という気持ちになってくれた人がいて。それからは「心がしんどいです」とまで言ってくれるようになった人もいて。
種田社長:面白いエピソードがあって。以前、社員の声を聞かずに外部の認証マークを取ったことがあるんですよ。その時は「社長のパフォーマンスだ」「自己満足でしょ」と言われてしまった。でも、サーベイで社員の意見を集めてアクションに反映した後に、認証マークを取ったときは、「みんなで一緒に取ったよね!」という受け取られ方になったんです。やってることは同じなのに、伝わり方がまったく違う。「声を聞いた上でのアクション」だったから、自分たちのこととして受け取ってもらえた。
組織を動かすのは、ロジックじゃなくて感情なんだと、そこで本当に実感しました。言ってる内容は変わってないけど、表現を一つ変えるだけで伝わることがある。そのサーベイを通じて、まず僕自身が変わった。僕自身の変化がなかったら、組織の変革もなかったと思います。

── ourlyはどういう経緯で導入されたのでしょうか?
種田社長:サーベイを定期的に取りたいけど、内製のフォームでブラッシュアップしながらやっていくのも大変だな、メッセージも伝えにくいな、という中で、「ourlyならサーベイも社内報も両方できるよね」というのがきっかけでした。
うちでは「CORE talk」という名前で使っています。経営理念「Just in Just」の核心(コア)を語り合う場所という意味を込めて。
── 実際にCORE talkを全社に広げていく上で、どんな取り組みから始めたのでしょうか?
種田取締役:菅原さんから「現場を巻き込んで動かす推進チームを作りましょう」という提案もあり、立ち上がったのが「CORE talkers(コアトーカーズ)」です。全社員の約10%のメンバーが集まって、グループ各社の垣根を越えながら理念浸透のための企画や発信を担っていく形になりました。
このチームがCORE talkを広げていく上で大きかったのは、グループを横断して「仲間意識」が生まれたことだと思っています。正直、グループ各社はライバルにもなれる関係なので、それまでは横のつながりが薄かった。でも、CORE talkersとして同じテーマで一緒に動いたことで、「あ、同じ仲間だ、同じ考え方を持ってる人たちだ」という感覚をメンバーたちが分かち合えた。その一体感が、CORE talkを各社に広げていく原動力になったと思います。
── とはいえ、最初からとんとん拍子ではなかったですよね?
種田取締役:もちろんです(笑)。スタートの頃はメンバーも戸惑いが大きくて。毎月のCORE talkersミーティングでも、最初はシーンとしていることが多かった。そんな中で、菅原さんがとにかく明るくて、ネガティブになりそうな時も「行けますよね?」とサラっと言われると、みんなが「あ、行けるかも」という雰囲気になってしまう(笑)。
気づいたら、CORE talkersのメンバー達が、現場の他の従業員に対しての声の掛け方が自然と変わっていたんですよね。
── CORE talkersで実際に取り組んだ企画について改めて教えてください。
種田取締役:グループ各社の社長に一人ずつインタビューして記事にする「Just in Just!その真髄に迫る」という企画は特に大きかったですね。
全社会議での社長の言葉って、その場では流れてしまうじゃないですか。でも記事として残ると、腹落ちする。記事を書いたCORE talkersのメンバー自身も、「インタビューを通じて自分の中にも気づきがあった」と言ってくれて。
「ありがとうリレー」も印象的でした。感謝を言葉にして誰かに届けて、その人が次に誰かへ届けていく。
こういう企画も菅原さんと一緒に考えながら形にしていきました。サーベイ設計も、「理解→共感→行動→自信」というステップを意識して設問を組み立ててもらったりして。ツールを渡されて「あとはよろしく」ではなくて、何をどう発信すれば人の心が動くかを一緒に考え続けてくれる伴走でした。
── ありがとうございます!やはり企業様によって組織文化やルール・理想の状態が異なるので、1社1社何がベストなのかを考え抜き、その上でご支援することを大事にしています。

種田社長:正直驚きましたよ。コンサルティングという立場でありながら、こんなにも我が社のために熱くなってくれる人には、そう出会えないと思います。もう「脅威」に近い驚き(笑)。外部の人間がそこまで本気でやってくれているのに、中にいる我々が中途半端じゃダメだよね、というプレッシャーすら感じましたから。ツールを使わせて終わりじゃなくて、本当に組織の中に入り込んで一緒に変えようとしてくれる。それが一番ありがたかった。
── サーベイの結果で特に印象的だったものはありますか?
種田取締役:最初に取ったourlyのサーベイで、「Just in Justを自分の言葉で言えますか」という問いに「いいえ」と答えた方々がいて。でも2回目のサーベイでは、その方々の8割が「はい」に変わっていたんです。これが本当に嬉しかった。「言語化できるようにしてほしい」というのが、私がourlyに最初にお願いしたことでしたから。
── 8割の変化は大きいですね。現場で見えた変化はありましたか?
種田取締役:言語化できるということは、「自分の仕事はここに向かっているんだ」という軸が、うっすらでも見えているということだと思うんですよ。報告を聞いている時も、なんとなく筋が通るようになったな、と感じることが増えました。数字を持ちにくい製造や内勤のメンバーも、「ああ、自分のこの仕事はMy Just in Justにつながっているんだな」とふと振り返る機会ができた。見えない自信につながっていると思います。
── CORE talkの記事でも変化があったそうですね。
種田社長:CORE talkersが各社の社長にインタビューした記事を書いてくれるんですよ。それを読んで「あ、種田社長がいつもおっしゃっていたのはそういうことだったのか」とストンと落ちる人がいた。喋っている時は流れていってしまう言葉が、文字になって残ることで、ちゃんと届く。
また、予想もしていなかったグループ会社のメンバーから突然連絡が来て、「社長の考えに共感しました。直接伝えたかったんです」と言ってもらったことがある。そういうメンバーが、今ジワジワと現れ始めているんですよ。それが本当に嬉しくて。
── まさに理念が「お題目」から「自分のもの」になった瞬間ですね。
種田社長:各社の社長が思っているメッセージと私が思っているメッセージは根底では一緒なんだけど、表れ方が違うから誤解が生まれていた。それが今は、「なるほど、だからこういう見え方の違いがあるんだ」とお互いが理解できるようになってきている。よく海外に行くと日本の良さがわかると言いますけど、他の視点を見ることで自社の立ち位置がはっきりわかるようになる。まさにそれが起き始めているんですよ。
去年は、「グループのベルリンの壁、崩壊の年」でしたね。それは間違いなく達成できた。

── 最後に、今後の展望をお聞かせください。
種田取締役:自分のことを知ってもらうためには、アウトプットし合って、インプットし合って、またアウトプットするという繰り返しが必要で。CORE talkのプロフィールや記事が、その場になっていってほしい。一人ひとりが「自分はここで輝くんだ」という光を見つけられるツールとして、これからも企画や発信を続けていきたいです。
それを続けることが、「みんなが主役、変えたい想いを共感する」というスローガンに、少しずつ近づいていくことだと思っています。
種田社長:これから新しいメンバーが加わるたびに、早くジャスティンという会社の思想に触れてもらいたい。CORE talkには、これまでの記事がストックされていますから。入社した時に「この記事とこの記事を読んでおいて」と渡せるものになっていく。そして10年後、70周年を迎える時に、この積み上げが全部冊子になって配れるくらいのものになると面白いと思っています。
一人ひとりの想いがそこに詰まっている。それが我が社の文化そのものになっていく。そういうものになっていくと、絶対になると思っています。

株式会社ビットエー ourlyカンパニー 組織開発コンサルタント
菅原 みなみ新卒より企業の外部広報およびコーポレートブランディング支援に従事し、企業価値向上に貢献。その後、ourly株式会社に参画。インナーコミュニケーション領域のスペシャリストとして、年間500社を超える企業に対し、エンゲージメント向上や組織活性化の戦略的アドバイザーを行う。 2024年からは組織開発コンサルタントとして、経営層と対峙し、経営戦略と連動した本質的な組織風土改革やエンゲージメント向上プロジェクトをリードしている。
<担当コンサルタントからのコメント>
M&Aを繰り返してきた組織では、理念や方針がどれだけ正しくても、「言った側」と「聞いた側」の間に見えない溝が生まれやすいものです。そしてその溝は、ロジックで埋めようとするほど、かえって深くなっていく。
ジャスティングループで起きていたことも、まさにそうでした。方針は間違っていない。アクションも悪くない。それでも伝わらなかったのは、言葉より先に「ちゃんと聞いてもらえている」という感覚が必要だったからだと思います。
サーベイで現実と向き合うことを決断してくださった種田社長、そしてプロジェクトを現場から動かし続けてくださった種田取締役。お二人の覚悟があってこそ、CORE talkersのみなさんが動き出し、「My Just in Just」を語れる仲間が少しずつ増えていきました。私はその場に一緒にいさせてもらっただけです。
これからも、ジャスティングループのみなさんが、自分らしい言葉で理念を語り、お互いの光を見つけ合える組織へと育っていくことを、楽しみにしながら伴走させていただきます。

この資料で分かること
なぜこれまでの施策では、組織課題が解決されなかったのか
ourlyは課題を課題をどのようにエンゲージメント向上を実現するのか
ourly導入後の組織の変化・事例
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